□Flow(ギンツ・ジルパロディス監督 ラトビア等 2024)
(注: ネタバレ有り)
ラトビア人監督がオープンソースのブレンダーを使って低予算(約5.5億円、スタッフ50人)で作り上げた手作り的CGアニメ。巨費を投じたディズニーアニメを凌駕して今年のアカデミー賞・長編アニメーション部門を受賞したことで話題になった。
突如起きた大洪水から逃れるべく、猫と犬とカピバラと鳥と猿が一隻の船に呉越同舟して漂流する、いわばイヌネコ版のノアの箱船だ。人間が登場しないため、台詞は一つもない(猫はニャーと鳴く)が筋はちゃんとよく分かった。
予算の限界かソフトの限界か、キャラクターの毛皮や洪水の表現に、大予算CGに見られるような実写と見紛うリアルさはないが、逆にアニメ本来の造形を取り戻したとも言える。最後の場面ではようやく生き延びた猫達にまた洪水が襲い掛かり、無限ループの可哀そうな話になるのかと思わせたがさすがにそうはならなくて良かった。
登場する不思議な鳥や破壊と再生を暗示する場面などに、ジルパロディス監督が自ら語っているように、宮崎アニメの影響もうかがえる。
観てよかった。
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