君たちはどう生きるか
2023-12-13


□君たちはどう生きるか(宮崎俊監督 2023)

 宮崎アニメは少々見飽きたので、「君たちはどう生きるか」も観る気はなかったのだが、米仏で好評と聞いて俄然見たくなり観てきた。我ながらミーハーである。
 結論から言うと大変面白かった。
 SFのナウシカのようなはっきりした筋立てがある訳ではなく映像コラージュに近いのだが、そのつなぎ方が上手いので何か面白い話と錯覚させられてしまうし、昨今では希少価値となって来た丸っこい手書き風のキャラクターと水彩画のような背景との調和が絶妙で、動く絵本としてとても素晴らしかった。今や完全に3DCG化したディズニーアニメの技と心は、むしろ宮崎アニメが受け継いだかとすら思えた。
 興味深いことに、この映画も、ほぼ同時期に上映中の「ゴジラ-1.0」や「鬼太郎誕生」と同じく、日本の戦中戦後を背景にしている。並べてみるとまるで終戦3部作だ、偶然なんだろうか、それとも映画監督はカナリアなのだろうか、気になる。
 そう言えば、宙から降って来た塔が人を狂わすという設定は、横山光輝の「バビル2世」への密かなオマージュかもしれない。
 封切り前の広告をほとんどしなかった本作だが、興収は好調で現在86億円、始まったばかりの米国興収(The Boy and the Heron)を加えれば100億円を突破している。ま、化け物だった「千と千尋の神隠し」の300億円超とはいかないが。


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