遺品博物館
2021-07-05


□遺品博物館(太田忠司 2020)

 遺産整理の現場にどこからともなく現れる、変哲もないしかしどこか奇妙な中年男、彼は、故人の命を受けて、その人生を語る一品を選定し持ち帰るために遺品博物館から派遣された学芸員だった。彼の遺品調査の過程で、故人とその家族、知り合いの必ずしも好ましくない過去、場合によっては殺人さえもが暴露されることもあるのだが、当の学芸員は我知らず選定した遺品を持って静かに消え去るのであった。
 ジャンルとしては、推理小説なのだろうが、読後感は、ロナルド・ダールの奇妙な味の小説群に似ていた。残念ながら僕が死んでも、謎の学芸員のお眼鏡に適うような遺品は残せそうにない。


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