川のほとり
2021-01-15


□川のほとり(筒井康隆、新潮2021年2月号)

 昨年なくした愛息に夢で会えたという切ない話。
 しかし、日記でも回想でもなく、読者を明確に意識した「小説」になっている。作家の筒井康隆が父親の筒井康隆を上回っていて、深層心理のさらに下に沈んでいくような実験的な短編に仕上げている。
 読後、画家の熊谷守一が、愛息の死に顔や愛娘の葬儀のさまを描いた油絵を思い出した。
 創作者の供養の仕方なのであろう。

[読書]

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