□手賀沼を描いた最後の浮世絵師
広重から連なる風景浮世絵師の最後の末裔の一人である、川瀬巴水の展覧会を柏高島屋で観てきた。巴水版画の展覧会は数年前にも同じ会場であったが、今回の方が点数も多く、また、水彩画の原画と仕上がりの木版画を並べて展示するなど工夫があって、より見ごたえがあった。
原画と版画を比べると、巴水が明確に仕上がり後の版画をイメージして、輪郭の墨線をきっちりと書いているのが良く分かる。また、原画以上に版画の線が細かくて、彫り師の意地が垣間見える作品、あるいは原画では1人の通行人が版画では2人になっているなど、おそらく版元の要請に基づく最後の修正プロセスが見えるものなどもあって興味深かった。
なお、昨年、あけぼの山公園の版画教室で、数十年ぶりに木版を刷った素人画家の視点からは、当然のことながら、川瀬巴水の版画、あらゆる意味で完璧であった。
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