シン・ゴジラ
2016-08-07


□ゴジラ会議は踊る!?

 エヴァの庵野監督が監督することが売りの「シン・ゴジラ」を観てきた。
 着ぐるみではなくCGを使ったのは、アニメの延長線上で演出したかったのだと理解できた。ゴジラは、まさにフルアニメーションのように自在に動き、新機軸の背びれから放射する核レーザーも違和感なく美しい。監督が目指したのは、実写映画ではなく、実写に限りなく近いアニメなのだろう。自衛隊の戦車もアニメのように軽く動く。
 物語的には、メインのアイデアとなった灼熱の赤ゴジラをはじめ、過去のゴジラ映画からの引用も多く、あえて新曲を使わず伊福部サウンドで押し通すのも、あざとくもオタクマインドをくすぐる。
 映画としての欠点は、ネットでユーザー批評が「ゴジラ会議」と揶揄しているごとく、会議場面が長いこと。ゴジラの活躍より、怒鳴りあっている人の顔のアップが長いのだ。金のかかる合戦場面を最小にして会話で時間を稼ぐ大河ドラマみたいだ。
 おかげで一緒に行った我がツレアイは、延々と続く会議に飽きて寝こけ、肝心のゴジラの咆哮・大破壊シーンを見損ねたと不満顔。会議場面を半分にすれば大傑作になったであろうに残念。
 怪獣映画に政治性(ポリティカルシミュレーション)はあっても良いが、政治場面はいらない。


禺画像]


 P.S. 東京全域を壊滅させ、最後は、東京駅を寝床に討死(?)するゴジラだが、首相を疎開させる場面はあっても、天皇を避難させる話は出てこない。大災害が東京を見舞えば、当然、象徴天皇の保護も最重要課題となる筈である。国のあり方(国体)に関する疑似政治学的な議論がウリ(?)のこの映画にしては不自然ではないか、被害地域に含まれている筈の皇居炎上の描写もない。
 タブーでもあるのかいな。
 帝都大戦の荒俣宏だったら、現人神が、荒ぶる神ゴジラを祈祷で退散させる場面を入れるんじゃなかろうかと夢想する。


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